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コンクリート

PROFILE

冬のある晴れた日の霧ヶ峰にて。
​自然に刻まれた時を想う
Tetsu Iwahara 岩原 哲
​ 宮城県仙台市在住


 

 登山、中でもクライミングにのめり込んでいた時期、山にいるときと下界にいるときの精神的落差がすさまじく、このままでは社会的に脱落してしまうかもしれない、だが、それもいいかもしれないなどと思うことがあった。その後、ふと気になったのが街の中にある自然。山でも街でも共通していたのは樹木であって、どちらも同じ時間が流れていることを意識してみたら不思議な気分になり、現実の些細なことも気にならなくなったりした。そして、雄大な山岳写真を目指していたはずが、樹木とその環境に関心が向くように変化していった。

 街路樹も自然の一部であり、山と同じ時間が流れていると意識してみれば、街路樹と対峙している時の自分は山にいる感覚と然程変わらない気がする。写真作品を創作する上で、自分にとって最も重要なことは、どのような場所であっても、自然の中で刻まれてきた時間を如何に汲み取ることができるか、に変化していった。

 樹木の生き様を追っているうちに、天地創造の時から受け継がれてきた遺伝子と、その種が辿ってきた進化の過程を無視出来なくなり、それ以降、街から山に流れている同じ時間を追うだけではなく、現在に存在している過去の痕跡を意識することが、創作する上で必要となる。その対象は樹木だけでなく、その土地が現在に至るまでの経緯についてであり、その川が人々の暮らしの変遷にどのように追従させられたかの経緯についてであり、あの山の岩壁が現在のように目視できることになった経緯についてであったりする。遺伝子は表層、進化は歴史。現在の表層は歴史の堆積であり、その目の前に横たわる風景に根源的な「何か」を想像できるような作品を創ることができればと思っている。

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